聖母の騎士社

聖母の騎士

聖母の騎士 あの日の1コマ Vol.48 重いのはカリスですか?

2009年から2011年までクリス神父様は東京にある関町修学院・志願院に大神学生の霊的同伴者として赴任してきました。 空いた時間にはよく腕を鍛えており、どの大神学生と比べてもずば抜けて太い腕を持っていました。しかしそんなたくましい腕を持つクリス神父様にも強敵がいました。それはミサで用いられるカリスです。ミサ準備担当の大神学生が香部屋にあるものの中で一番大きいカリスを用意すると、ミサの後に「あのカリスは重たくて腕が疲れるんですね~」と漏らすことがありました。 しかし実のところ、重いのはカリスではなく、クリス神父様のたくまして太い腕が原因ではないかと当時の大神学生たちの間でささやかれていたことは、今でもクリス神父様には内緒です。聖母の騎士 2025年6月号より掲載
聖母の騎士

聖母の騎士 あの日の1コマ Vol.47 ゼノ修道士の新聞叙階

「アリの町に十字架ゼノ神父も一役」、昭和25年の11月のある日、朝日新聞の夕刊にこんな見出しで小さな記事が載りました。内容はごく単純なもので、東京浅草の隅田川のほとりに通称アリの町というバタヤ部落がある。そこに住んでいる人たちは一人残らずバタヤだが、アリのように団結して働いている。今度、アリの町の中央に教会を建てることになり、それを耳にしたゼノ修道士が協力を申し出て、建築材料を提供することになった、というものでした。しかしこの小さな記事が思いがけない問題を引き起こしてしまいました。 「叙階していない修道士が神父とは何事か!」、「勝手にバタヤ部落に教会を建てるとはけしからん!」このような非難が外部から起こり、上長もゼノ修道士も困ってしまいました。そこでアリの町の人たちとゼノ修道士は東京大司教区を統括する土井大司教様の所へこのことについて釈明をしに行くことになりました。 東京大司教館につくと受...
聖母の騎士

聖母の騎士 あの日の1コマ Vol.46 猿ば撮るサルバトール神父様

今から60年ほど前のこと、サルバトール神父様は大学の夏季休暇中に兵庫県の仁川修道院へお手伝いに行きました。そしてお手伝いの合間に大学で履修していた自然人類学のレポートのために猿の写真を撮りに宝塚ファミリーランドや箕面の猿の出る山へ行きました。ある日、サルバトール神父様宛に暑中見舞いのはがきが届きました。修道院でお手伝いをしていた長崎出身の信者さんはその宛名を見てこう思いました。確かによく「猿ば(を)撮る」神父様に違いないが、宛名にそのように書くのは失礼にあたるのではないかと。このことを周りの人に話したところ、サルバトールとは救い主という意味の修道名だったことが分かり、少し恥ずかしい思いをしたそうです。※長崎の方言で「~を」を「~ば」といいます。聖母の騎士 2025年4月号より掲載
聖母の騎士

聖母の騎士 あの日の1コマ Vol.45 御聖体、小神学生の頭頂に沈む

長崎にある聖母の騎士修道院に隣接して、司祭、修道士を目指す中高生を養成する聖コルベ志願院が建っています。 今回はそこに長年携わった修道士さんのお話です。小神学生と生活を共にしていると、ふとした時に成長を感じることがあるそうですが、それを身体的な点で一番感じたのはミサの中で司祭が御聖体を奉持する時だったそうです。小神学校に入ったばかりの中学一年生の小神学生の頭の上には、司祭が奉持する御聖体が高々と上っていたそうですが、時を経るとともに、御聖体が小神学生の頭頂にかかるようになり、やがて夕日のように彼の頭頂に沈んでいったそうです。司祭の奉持する御聖体、小神学生の頭、修道士さんの視点が毎日のミサの中でほぼ位置が変わらないので、必然的に定点観測をすることになったのです。そしてある日、その頭がぱっと無くなった時、小神学生が巣立って行ったことの実感と感慨が胸に去来したそうです。聖母の騎士 2025年3月...